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~マツダの代名詞 ”ロータリーエンジン”と共に歩んだ「クーペスタイル」の名車たち~

  • ロータリー1


    前回は「ルマン24時間レース」で活躍したレーシングカーたちをご紹介しましたが、今回はマツダを語る上では欠かせない「ロータリーエンジン」を陰で支えた名車たちを紹介します。そもそも「クーペ」ってなに?と思われたあなた、まずその疑問を解消します。 「クーペ」とは、車の形状を表しています。一般的には2ドアで車高が低く、スタイリング重視の車です。その語源はフランス語の「coupé(クペ)」に由来し、「切られた」という意味の形容詞で、車両の後方を切り落とした二人乗りの箱馬車を表していました。やがてそれが、車の形状を表す「クーペ」になったと言われています。(諸説あるかもしれませんが。)それでは今回はマツダモデルカーコレクションでも発売中の3台の「クーペ」モデルをご紹介していきます。

  • ロータリー2

    FAMILIA ROTARY COUPE(1968 – 1973)


    1台目は1967年に誕生した2代目ファミリアから派生した「ファミリアロータリークーペ」です。外観の特徴は、当時流行した「角型ヘッドライト」に、当時の主流であった三角窓の廃止や曲面ガラスの採用など、新しい要素を採り入れた意欲的なデザインのモデルです。コスモスポーツに続くロータリーエンジン搭載車の第2弾として1968年7月に登場しました。コスモスポーツ譲りの10A型2ローターエンジンを搭載し、最高出力こそコスモスポーツに劣る100psでしたが、車両重量は90kgも軽い850kgを実現。この軽さを活かし、最高速は180km/h、0→400m加速は16.4秒を誇りました。 少し環境面の話をすると、ファミリアロータリークーペが登場した頃、時を同じくして自動車の排気ガスが原因とされる光化学スモッグの対策として、大気清浄化改正案、いわゆるマスキー法が、アメリカ連邦議会に提出されました。このファミリアロータリークーペは「マツダR100」の名で世界への輸出を目論んでいましたが、通常のレシプロエンジンに比べ炭化水素(HC)の排出量が多いロータリーエンジン車はいきなり苦境に立たされたのでした。しかし、転んでもただでは起きないのがマツダです。対策として、熱反応器(サーマルリアクター)を開発し、困難と言われたマスキー法を克服。見事、北米市場へ参入を果たしたのでした。このあたりにも世界で初めてロータリーエンジンを実用化したマツダらしいエピソードが見え隠れしますよね。

  • ロータリー3


    北米市場への参入だけではなく、モータースポーツの世界でも大活躍を見せたファミリアロータリークーペ。軽さと優れた操安性能を武器に、世界各国で開催された耐久レースで好成績を収めたことでも知られています。1969年のシンガポール・グランプリでの優勝をはじめ、ベルギー、ドイツ、イギリス、南アフリカのサーキットでもその雄姿を見せつけ、今では想像もできない84時間レースにも参戦し5位で完走しました。この時から、後の1991年ルマン初優勝を支えた片山義美選手が活躍していたことも記しておきます。

  • ロータリー4

    LUCE ROTARY COUPE(1969 – 1970)


    2台目は、1966年に誕生した当時のマツダのフラッグシップモデル「ルーチェ1500」の登場から3年後の1969年10月にハードトップクーペボディを纏った「ルーチェロータリークーペ」です。ルーチェと名乗るも、セダンの「ルーチェ1500」は後輪駆動(FR)に対し、「ルーチェロータリークーペ」はマツダとしては初の前輪駆動(FF)を採用したモデルでした。さらに後の1970〜80年代に流行した、屋根を支える中の柱が無い「ピラーレスハードトップ」や「パワーステアリング」を採用するなど非常に先進的なモデルだったのです。また屋根にはレザーが採用されたことでも知られています。 エンジンは、新開発の13A型ロータリーエンジン(655cc×2)を搭載し、マツダにおいてFF用に設計された唯一のロータリーエンジンでした。このエンジンは、2012年6月に生産を終えたRX-8まで搭載された13B型へと進化を遂げる礎となったエンジンでした。

  • ロータリー5

    ここには現在のマツダを象徴するデザイン「魂動」のルーツが!?


    「ルーチェロータリークーペ」は現在のマツダデザインフィロソフィである「魂動」のルーツと言われています。このデザイン、元々はイタリアのベルトーネ社がデザイン手がけたルーチェセダンに対し、当時のマツダ・デザイン部の手で、2ドアクーペとしてデザインし直されたものです。非常に「エレガント」なこのクルマを後世にも残したいと、2017年にはマツダの社内でレストアされ、そのクルマは今も大事に保管されています。

  • ロータリー6

    CAPELLA ROTARY COUPE(1970 – 1974)


    今回最後に登場する3台目は、マツダ創立50周年にあたる1970年、「ファミリア」と「ルーチェ」の間を埋める新しい主力乗用車として誕生した「カペラロータリークーペ」です。 空力理論を採用した流れるようなウェイビーラインをまとい、「風のカペラ」の 愛称を持ちます。「ファミリア」、「ルーチェ」と異なり、「カペラ」は「ロータリーエンジン」を搭載 する事を前提に開発され、当時のテレビコマーシャルやカタログでは「ロータリー時代がここから始まる」、「1970年代にクルマの主流はロータリー車に変わる!」と豪語したほどの意欲車でした。 エンジンはカペラの為に新開発された12A型ロータリーエンジン。最高出力は120ps/6500rpm、最大トルクは16.0kgmを誇り、最高速はクーペが190km/h、0→400m加速も16.2秒を達成しました。1971年には、ロータリーでは世界初のAT仕様であるREマチックも設定されました。

  • ロータリー7


    1台目にご紹介した「ファミリアロータリークーペ」同様に、ロータリーエンジン搭載車ならではの武器である、軽量&ハイパワーを活かしレースでも大活躍しました。また、北米市場には「RX-2」の名で輸出され、IMSAシリーズに参戦していました。

  • ロータリー8

    【モデルカー製作裏話】大切なデータ取り車両があわや!?


    初回のデミオ(DE)でもご紹介の通り、一般的なモデルカー製作では実車から車両の形状をスキャニングして3Dデータ化する方法が採られます。最近ではCADデータから作ることも多いですが、このモデルはマツダミュージアムの展示車両がベースでした。データ取りの際、スキャンニングしやすいように「スキャニング用反射防止剤スプレー」をボディに塗布します。しかしここでトラブル発生! 無事にデータ取りを終え、いざ拭き取ろうとするも、ボディからスプレーの跡が消えない事態に!モデルカーメーカーの担当者(ドイツ人)はもちろん、マツダのスタッフの顔色もみるみる青ざめていきました。代替えのきかない、貴重な展示車両を汚してしまった…。現場で色々と試すもやはり跡は残ったまま。すると、ドイツ人スタッフが東京支社と連絡を取り、消えるかもしれない方法が判明!翌日にはなりましたが、横浜から新幹線で駆けつけたドイツ人スタッフが手にしていた「魔法のケミカル剤」で見事にスプレー跡は消え去り、誰もが胸をなでおろした瞬間でした。私も現場に居合わせた一人ですが、寿命が縮まるとはこういうことなんだなぁと感じたものです。

  • いかがでしたか?今では珍しくなった「クーペ」スタイルの名車たち、お楽しみいただけたでしょうか。一言で「クーペ」、「ロータリーエンジン搭載車」と言っても、それぞれのクルマが背負うストーリーは様々です。当時のクルマ作りも、現代のモデルカー作りも多くの関係者が、困難を乗り越えて辿り着いた集大成でもあるのです。モデルカーでは細部に渡って実車を再現しようと、モデルカーメーカーの組み立てスタッフが、1台1台、丁寧に作業をしてくれています。機械で大量生産しない分、「唯一無二」の一台が完成するのです。 そうした違いも楽しんでいただける、モデルカーにはそんな世界がひろがっているのです。

    この記事を読んで懐かしの「クーペスタイル」のモデルカーたちに興味を持たれた方は、是非一度、「マツダコレクション」サイトを覗いてみてください。きっとあなたの心に響く素敵なモデルカーに出会えることでしょう。